確定申告期の詐欺被害を防ぐには
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国税庁は4月6日、ことしの確定申告の期限までに申告が難しい場合には期限を区切らずに柔軟に申告を受け付けると発表しました。米国では、通常4月15日が個人の確定申告書の提出期限ですが、日本同様に、2019年分の確定申告の支払い期限を7月15日に延長しました(英語)。詐欺師やサイバー犯罪者は、人が納税シーズンになると詐欺に対するストレスが高じるのを利用し、その後もだまし続けます。
2019年6月、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は、「納税関連の電話およびEメール詐欺の新しい手口」について注意勧告しました。この「SSN hustle(英語)」と呼ばれる電話詐欺では、ロボコール(自動ダイヤルおよび自動音声メッセージ)を使って、ソーシャルセキュリティー・ナンバーを一時停止または無効にすると脅迫する留守番電話を残します。また、Eメール詐欺では、架空の「税務局」の名前で送信され、未払いの税金の督促の虚偽のメッセージでバックリンクまたは添付ファイルをクリックするように仕向けます。
私たちは、精神的に過度な緊張がかかると、合理的な判断力が失われる状態に陥ります
税務上のトラブルは、新型コロナウイルスの感染拡大と同じレベルの不安感を生み出す可能性があります。したがって、犯罪者はこのストレスを利用して収益化するための手口を絶えず進化させています。また、これらの攻撃は納税シーズン中に急増しますが、一年中いつでも発生する可能性があり、被害にあうと、個人情報が盗まれます。
確定申告期の詐欺に備える
確定申告の時期に便乗したマルウェアや詐欺から身を守るための最初のステップは、確定申告フォームの保存、準備、またはアクセスに使用するデバイスやアカウントを安全に保つことです。
これは、F-Secure SAFEのような最新のセキュリティソフトウェアをデバイス上で実行するだけでは足りません。重要なアカウントのパスワードは、記憶できないほど強力にする必要があります。F-Secure KEYなどのパスワードマネージャを使用して、全てのパスワードを記録します。そして、可能ならばSMS(ショートメッセージサービス)を利用した認証ではなくサードパーティの認証アプリケーションを使って2要素認証を追加します。
Eメールにアクセスするデバイスを使用していない時は、常に画面をロックしておく必要があります。また、金融取引専用に使用するブラウザを1つ選択し、すべての納税関連作業には選択したブラウザのみを使用するようにします。
公共Wi-Fi経由で税務情報や個人を特定できるデータを含む情報にアクセスする場合は、F-Secure FREEDOMEなどの信頼できる広告のないVPNで、確実に接続を保護してください。
すべてのEメールは偽のEメールの可能性があると考えましょう。信頼できない添付ファイルやリンクは決してクリックしないでください。どの添付ファイルやリンクを信頼すべきか自分で決められない場合は、開くのを避ける方が無難な方法です。
何よりも、できるだけ早く確定申告の準備を開始できれば、締め切り間際に慌ててミスを犯すことを防ぐことができます。
判断力を磨く
IRSは納税者の財務情報をEメールで要求することはありません。郵便局からの通常の郵便物を使用します。IRSサイトを見れば(英語)、納税者が送信したフォーム、または宛先の住所が正しいかどうかを確認することができます。IRSの担当者が納税者に電話することはあり得ますが、事前に録音されたメッセージを流したり、支払いを要求したりすることはありません。万一、なりすまし詐欺に遭遇した場合は、こちらからIRSへ報告することができます(英語)。
残念ながら、電話の発信者番号が常に信頼できるわけではありません。電話詐欺を避けるためには、疑わしい番号の電話を受けたときはいつでも切って関わらないのが正解です(英語)。不審な番号をGoogleで検索すると、既知の詐欺に関するヒントが得られることがよくあります。
実際に納税者が懸念している事柄に関する連絡であっても、なお不安を感じる場合は、税理士事務所などに直接連絡することをお勧めします。その場合は、事務所の公式サイトに直接アクセスし、そこで得た連絡先情報を使用してください。
ストレスは禁物
IRSの職員は、納税者がストレスを感じていることを良く理解しているので、威嚇するような行動を取ることはありません。本物のIRSの職員は、すぐに逮捕すると脅したり、すぐに支払いを要求するようなことはしません。通常、納税者は、そのような扱いを受ける前に、いくつかの段階的なステップを踏んで、正当な税金の請求や問題に異議を申し立てることができます。
ただし、税金詐欺師も納税者がストレスを感じていることを知っており、そのストレスを悪化させたいと考えています。なぜでしょうか?そうすれば、納税者はよく考えずに行動を起こす可能性が高まるからです。
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