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不審な活動や外国の支援に後押しされたブレグジット賛成派のツイートアクティビティ

F-Secure Japan

08.05.19 6 min. read

エフセキュアが実施したブレグジット(イギリスの欧州連合離脱問題)賛成派のツイートアクティビティに関する新たな調査によると、Twitter上のフェイクニュースや偽情報(英語)を阻止するTwitterの取り組みに反して、「不審な活動」は未だ終結していません。Twitter上の異常な活動は離脱賛成派と反対派の双方で観測されていますが、賛成派グループの方がはるかに顕著でした。

「リサーチャーらは、観測された不審な活動の頻度から考えて、賛成派のTwitterコミュニティは、英国外の極右のTwitterアカウントから支援を受けていると結論付けました。」と、この調査報告書は締めくくっています(英語)

ブレグジットの交渉が終結時に、なぜTwitterが重要なのか?

Twitterは世界で12番目に人気のあるソーシャルネットワーク(英語)であり、政治的議論に影響を与えようとしている人にとって、それは依然として重要な役割を果たしています。

ジャーナリストはこのサイトを頼って支持者を集め、自分たちの仕事を宣伝しているので、学会ではTwitterがニュースの形成に与える影響の研究を開始しています(英語)。また、世界各国の主要なリーダー(英語)が積極的にこのサイトを利用しています。これには、お気に入りの直接コミュニケーション手段(英語)であると当人が認めている米国の現職大統領も含まれます。Twitterはまた、米国で2番目に人気のあるソーシャルメディアのニュースソース(英語)でもあります。

ブレグジットをめぐる議論に関して言えば、Twitterやその他のソーシャルメディアプラットフォームはダウニング街10番地に直に繋がっています。そこは、2016年に実施された英国のEU離脱の投票を行う交渉を先導したTheresa May(テリーザ・メイ)現英国首相の官邸です。

「May首相の政府における「緊急対応部隊」は、ロンドンの多数の政治家やジャーナリストにほとんど気付かれずに、ソーシャルメディアに登場する記事の監視と火消しを行っています。」と政治に特化したアメリカのニュースメディアであるPoliticoは伝えています(英語)

偽情報の拡散を観測するのに理想的なTwitter

Twitter上の不審な活動は、発覚を逃れるためにこのサイトの合法的な使用を模倣するように設計されており、多くのケースで極めて有効です。

「洗練されたソーシャルエンジニアリングキャンペーンや偽の草の根キャンペーン(ソーシャルネットワークのやりとりを模倣することで傍聴人を欺いて、活動は草の根キャンペーンの一部であると信じさせるように設計されたキャンペーン)の考案者は、その原因に関連したコンテンツやメッセージを支援するのに相応しいペルソナを作成して活動させます。」と報告書は指摘しています。「“偽”のペルソナと実際のアカウントを区別することは非常に困難です。」

ソーシャルネットワークを操作しているユーザは、さまざまな方法でサイトのフォロワーを購入したり、プラットフォームのアルゴリズムを操作する方法を簡単に見つけることができます。より高度なオペレータは、分析するよりもはるかに早くコンテンツとデータが生成される環境を作り出す作業を自動化させることができます。

Twitterは「オープンな性質とフル機能のAPIサポート」のおかげで、「ソーシャルメディア攻撃の研究に理想的なプラットフォーム」を提供していると、この報告書では分析しています。

ブレグジット中心のTwitter活動に焦点を当てる

エフセキュア人工知能研究拠点(AIセンター・オブ・エクセレンス)のリサーチャーは、過去2年間、特に選挙に関連した(英語)Twitterの悪用を追跡してきました。

ブレグジットの投票までの長い期間、リサーチャーらは「不審な活動、 偽情報キャンペーン、投票者心理の扇動、あるいはその他の“妨害”操作を探すために」ブレグジットという言葉が含まれる投稿に着目することにしました。

標準のTwitter APIとPythonプログラミング言語を使用して、2018年12月4日から2019年1月27日までの期間にこれらの活動を追跡しました。ユーザがこの話題についてツイートしたりツイートを共有した頻度と、個々のツイートの影響をリツイートにより測定することが目標でした。また、単語数と、該当するツイートで使用されているURLのハッシュタグを監視しました。

視覚化ツールのGephiを使用することで、ユーザ間のやりとりを以下のようにマッピングすることができます。

以下の図は、活動の初日がどのようなものかを示したものです。発生頻度の高いアカウントほど、ユーザ名がより大きなフォントで表示されています。

#franceprotestはブレグジットとどのように関わっているか?

リサーチャーらは昨年12月11日の興味深い現象に気付きました。#franceprotestsのハッシュタグがブレグジットデータ内で突然増加したのです。

リサーチャーらは主に人気のあるひとつのツイートに基づいてこのやりとりをマッピングした結果、以下のように表示されました。

このクラスターでアクティブなアカウントを見ると、黄色いベスト運動(#yellowvest、#yellowjackets、#giletsjaunes)、および米国の右翼のトピック(#MAGA、#qanon、#wwg1wga)に関連するツイートを熱心に共有している人が多数存在することが分かりました。

これは、このハッシュタグへの支持がフランス国外と大西洋の両側の国々から来ていることを示唆しています。

さらに、研究者らはフランスの抗議行動とブレグジットについてツイートしている一部の不審者を特定しましたが、それは本質的に政治に無関心な人々のように思われました。これらのアカウントがこの扇動活動に引き込まれたのかどうかの最終的な決断を導くことができるのはTwitterだけです。

急増した賛成派の扇動活動

12月20日にそれまではリツイートといいねボタンをあまり押していなかった少数のアカウントが、ブレグジットに焦点を当てた最も影響力のある「トップ50」アカウントに突然登場したことに気づきました。

主に約5,800件のアカウントから来た反EU活動の急増の中心にあるのは、離脱賛成派アカウントのbrexiteer30、jackbmontgomery、unitynewsnet、およびstop_the_euのようでした。

また、この活動にはEducation4Libs、AmyMekを含む米国右翼の間で人気のアカウントや、数十万人のフォロワーがいるアカウントからの支援が含まれていました。

12月20日、メイ首相内閣の最初の閣僚であるAmber Rudd(アンバー・ラッド)労働年金相(英語)は、2度目の「EU離脱」国民投票が行われる可能性を示唆しました。しかし、研究者らはこのニュースに関連した扇動活動を示すデータを見つけることができませんでした。

Twitterで不審な活動を見つける方法

Twitterの利用規約では「サービスの悪用」を禁止しています。しかし、悪用といっても、昨年検出された22,000件の強力な(英語)Twitterボットネットのように直ちに判明するようなものはめったにありません。

調査チームは調査を継続するにしたがって、データに非常に多くの知見が含まれていることに少なからず驚いています。

「データの中には、さらに隠されたデータがあります。そこから様々なアングルを通して見えて来るものがあります。それらはすべて異なる現象を強く示唆しています。」と、この調査活動の重要性に関する最近の投稿で指摘しています。「ソーシャルネットワークのデータは刻々と姿を変える生き物のようなものです。」

グラフ分析は、Twitterの膨大な量のコンテンツフローを「描写」し、「詐欺、ソーシャルエンジニアリング、偽情報、群衆心理の扇動、そして偽の草の根キャンペーン」に向かうサイトの使用状況をある程度可視化することができます。

離脱賛成派の活動の何がそれほど不審なのか

ブレグジット賛成派と反対派の両者で不審な活動が散見されましたが、賛成派の取り組みの方が顕著であり、オンラインでの会話に影響を与える点で、より効果的のようです。

この報告書には、賛成派の活動を支援していることが判明した不審な行動の例がリストされています。

  • 賛成派コミュニティで見られるインフルエンサーの通常のパターンと比較して、上位2名のインフルエンサーだけが不相応に多量のリツイートを受け取っていました。
  • 賛成派グループは、一握りの権威のないニュースソースからの支援に依存していました。
  • 英国以外の多数のアカウントが、賛成派の会話やリツイート活動に関与していました。

次に何が起きるか?

「そのTwitterアカウントがボットであるのか、それとも組織的な偽の草の根キャンペーンの一環として行動しているのかを、標準的なAPIを使ってクエリを実行するだけで判断するのは非常に困難です。」と、この研究は報告書の「結論」の章で締めくくっています。

このデータセットには、「165万人を超えるユーザによって公開された約2,400万のツイート」が含まれています。これは、たとえそれが常習的に行われているとしても、これだけの量を小規模の研究チームが適切に分析するのは不可能です。

わずかなパーセントのポイント差で決まる議論や選挙に対して、Twitterサイトが与える影響の大きさを考えると、また、ダッシュボードを重視して緊急対応部隊が判断することも考慮すると、Twitterには次の選択肢があると思われます。それは、① 不審な活動を減らすためにTwitterが独自の視点でリソースを投入するか、あるいは、② 政府がそのような要求をTwitterに行い、規制する前に政府自体が崩壊することを想定することです。

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