フェイクニュースを見破るには?
フェイクニュースとは、主にSNS上で流布される本物を偽った虚偽情報で、本物のニュースを装って巧みに作成されたニュースのことです。フェイクニュースの目的は、うわさを広め、緊張や不信を生み出し、政治を混乱させて世論を誘導することにあります。
通常、フェイクニュースは人の心をつかむことがうまく、見出しもセンセーショナルです。この感情と信念に訴える見出しとコンテンツにより、そのニュースをほかの人と共有してしまいます。 特に、フェイクニュースを共有した人が、有名人や政治家、または多くのフォロワーを抱えている人の場合、その影響力は絶大です。また、フェイクニュースは政治的に偏った内容が多く、中には風刺を目的としたものもあります。
フェイクニュースが拡散すると、その内容は一般市民の意識の中に入り込んできます。一旦そうなってしまうと、フェイクニュースに立ち向かうことは困難です。たとえその情報が間違っていたとしても、その記事の内容が、情報源として使用されさらに広がっていきます。
フェイクニュースを拡散する理由
フェイクニュースは、自分達の立場を強固なものにしたり、敵対する相手を弱体化させたり(英語)、その両方を望むグループによって拡散されます。フェイクニュースという言葉自体は最近のものですが、人の噂が存在した時代からは存在ていました。 特に20世紀になると、敵を中傷するプロパガンダとして使われたり、軍隊の士気を高めるために使用されることが一般的になりました。
ソーシャルメディアの台頭は、正しいニュースを伝えるだけでなく、フェイクニュースを拡散させる完璧なプラットフォームが出現したことも意味しています。 ソーシャルメディアは、どこからでも、誰もが瞬時に世界中にニュースを発信できるようになりました。 そのため、海外の脅威アクターがフェイクニュースを利用して世論を混乱させたり、グループ間の緊張を引き起こしたり、他の国の選挙に影響を与えることが可能になりました。真偽の程は定かではありませんが、多くの政府は、国内外でフェイクニュースを拡散するための組織や、支援する組織を持っていると言われています(英語)。
「ポスト真実」の時代
フェイクニュースが及ぼす最も深刻な影響の1つが、ニュースそのものの信頼性を損なってしまうことです。何でもフェイクニュースとして片付けられてしまうこともあるでしょう。多くの人にとって、そのニュースが真実なのか虚偽なのかを識別するのが、一層困難な事になっています。本当はフェイクニュースなのに、時として真実として語られることもあります。同様に、本物のニュースが、個人の意見に基づいて偽のニュースとして片付けられる事も起きています。多くの場合、支持された信念や意見がフェイクニュースによって増強されるにつれ、真実の重みは薄れていきます。
このことから、私たちは今、「ポスト事実」の時代を生きていると言われています。政治的議論においては、事実や専門家による分析の重要性が、意見、信念、感情に比べて低く見られる事象も起きています。フェイクニュースとポスト事実の政治は、たとえば米国や英国の現在の政治と強く結びついています。もちろん、このような批判的な声すらもフェイクニュースであると非難されてしまうのです。
フェイクニュースを見破るには?
フェイクニュース記事は、意図的に真実のニュースを巧妙に装って作られているため、見破るのが難しい場合が多々あります。もし今見ているニュースが偽物かもしれないと感じた場合、調べることができるフェイクニュースならではの特徴がいくつかあります。
フェイクニュースは、可能な限り迅速に拡散することを目的としています。だからこそ、センセーショナルな見出しで感情に訴えることを意識しているのです。残念ながら、各メディアに潜む多くの攻撃アクターも、clickbait(クリックベイト)として知られるキャッチーで誇張された見出しを使用しています。しかし、見出しが常識外れのように思える場合は、そのコンテンツが正当かどうか疑いを持ち、正当性を示す兆候を探す必要があります。
コンテンツにも警戒すべき特徴があります。タイプミスや乱暴な言葉が散見していたり、対象を直接的に攻撃しているような内容は、正規のニュースによって発表されたものではない可能性があります。その記事の内容が大手メディアからは発表されていなければ、その理由を尋ねてみたくなるのももっともなことです。
もう1つの警戒すべき兆候は、そのニュースの発行元の情報が見つからない場合です。この場合、ニュースについて疑問を持つことが重要です。多くの場合、フェイクニュースはボットや偽のアカウントによって拡散されますが、実在するプロフィールや見知らぬ読者によっても拡散されるため、見分けるのが難しくなっています。Webサイトや投稿者のプロフィールの正当性を調査するのは、手間がかかり厄介な作業になります。また、騒がしいソーシャルメディアの調査もスムーズには行きません。しかし、そのような状況にあっても、情報源を見極めることは絶対に欠かすことはできないのです。
国際図書館連盟(IFLA)は、フェイクニュースを識別するためのガイドライン(英語)を公開しています。簡潔に言うと、人々の関心を煽るような見出しに出会ったら、他人と共有するかどうかを決める前に、記事の内容と、記事が投稿されたサイトの信頼性を確認してください。
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